…んで。

鈴を付けたラビリスを設置して物陰から見てんだけど。

全っっ然来ねぇ!

「シオンー、本当にこれでいいのk」

「伏せて!」

「おぶっ!?」

痛ぇ!首が!グキッていった!

「何すんdもがっ!?」

ちょ、シオン!何すんだよ?口塞がれたら喋れねぇじゃん!

「しーっ、静かに」

あ?…あ!ラビリス(の死骸)の近くにフィーノスが!

なるほどな!それで首をねじ伏せられたり、口塞がれたりされたんだな。

…てか、先に言え!!いきなり首ねじ伏せられたりしたら痛いに決まってんだろ!

って言いたいけど言えない。だって口塞がれてるし。

チリン…チリン…

「かかった!追いかけよう、カオル!」

「ぷはっ、了解!」

鈴の音を頼りに、俺達はフィーノスを追っかけた。木の根が露出してデコボコしてる道を走って、辿り着いたのは、洞窟みたいな穴の入り口。そこにフィーノスが入っていった。

チリン…チリン…

「鈴の音が聞こえるな」

「うん。ここで間違いないね」

「でもさ、これからどうするんだよ?フィーノスの群れの中にいきなり突っ込んでも、閃光手榴弾使う前に返り討ちだぞ?」

「そうだね…どうしようか…」

あ、そうだ!

「シオン、いい案があるぜ!」

「何なに?」

「俺が囮になる」

「……………えぇっ!?無茶だよそんなの!相手はフィーノスの大群だよ!?」

「大群だからこそだよ」

「…?」

「いくら俺達でも、フィーノスの大群相手じゃ歯が立たねぇ。だから、一部だけ誘き出してやるんだよ」

「そんなの、やってみなきゃ分かんねぇだろ。いいか、俺とフィーノスが出てきたら、閃光手榴弾をお見舞してくれ!」

「了解!気を付けてね」

「心配すんなって!」

…とは言ったものの。

やっぱり怖いわ。モンスターの群れの中に独りで入るなんて。

ええい、今更怖がってどうするんだ、俺!一度決めたんだ。女として、覚悟を決めて行くぜ!

……………。

うわぁ。洞窟の中ってひんやりしてるな。壁が湿ってて気持ち悪いな。

それにしても、静かだな。モンスターの住処なら、もうちょっと騒がしくても…。

『シャアーッ!』

うわっ、ななななんだ!?

…フィーノスの鳴き声だ!行ってみるか!