てか、そもそもフィーノスの住処ってどんな所だよ?フィーノスがいっぱいいんのか?分かんねぇんじゃ探しようがないな。

…っていうのを、シオンに話してみた。

「確かにそうだね…あ!囮を使って誘き寄せるのはどう?」

「囮?」

「そう、囮。動物かなんかを囮にして、フィーノスを誘き寄せて、そいつについて行ったら住処が分かるんじゃない?」

「でも、この世界の生き物は、倒したら消えちまうから、囮になんてできないだろ?」

「それが、違うんだよ」

「へ?」

どういうことだ?

「この前、道具屋に行った時に聞いたんだ。この世界ではね、魔力によって生まれた生き物と自然に生まれた生き物がいるんだ。で、自然に生まれた生き物は倒しても消えないんだ」

「魔力?」

「うん。フィーノスは魔力から生まれた生き物だから、倒したら消えちゃったんだ」

魔力か…魔力から生まれるか、自然に生まれるかで、消えるかどうかが決まるのか。それがこのゲームのシステムなんだな。

「じゃあ、自然に生まれた生き物を探して、囮にするってことなのか?」

「その通り!」

はー…馬車で出会った時もそうだったけど、シオンって本当に頭いいな。機転がきくし。

「んじゃ、とりあえず、そこらへんに動物がいないか探してみるとするか」

「うん!」

さ、て、と。

どこかに動物の一匹でもいないかなー。

…いた!木の上に、ウサギみたいな耳をしたリスっぽいのがいる!捕まえねぇと!

とっ…とっ…と。

はぁ…。

届かねぇ。

「カオルー!見つかったー?」

「おー、ウサギみたいな耳をしたリスっぽいの見つけた!」

「それ、どこにいるの?」

「俺の近くの木の上!」

「分かった!任せて…よっ!」

バシュッ!

『キィッ!』

わー可愛い鳴き声。なんか殺しちまって申し訳ないな。殺したのシオンだけど。

「よし、仕留めた…こいつはラビリスだね」

「ラビリス?何だそれ?」

「この動物の名前だよ。王様から授かった部屋にあった本に載ってた」

いつの間に読んでたのか。

「このラビリスを囮にして、フィーノスを誘き寄せよう。罠を仕掛けるんだ」

「罠?どんな?」

「ラビリスにこの鈴を付けて置いとくんだ。そしたら、音でフィーノスの行方が分かる」

いつの間に鈴まで買ってたのか…シオンって本当にすげぇな。