「どうなって、いるんだ・・・・・・・」


アキもカイルを見つめた。
船内に逃げ込む船員達を見届け、剣に付いた血を払う。



いつの間にか、船上に居た海賊の人数が少なくなっていた。


アキは船首の近くで高見の見物をしている金髪に目を向ける。



「おい、そこの海賊」

「そこの海賊、じゃなくて俺には“アル”と言うかっけー名前があるんだよ」

「いちいち覚えていられるか。確か貴様、カイルを女だと知っていたな。あいつは一体、何者なのだ?」


アルに近付くと、アキは溜め込んでいた疑問を一気に投げ掛ける。



「カイルが何者かだって?さっきも親父が言ってたろ。アランの娘。海賊界でも“爆弾娘”の名前で知れてる発狂剣士だよ」


「・・・・・・・・親父・・・・・?」



アルは背中の傷を庇うようにして立ち上がった。


「うん、あそこにしゃがみ込んでる、海賊連盟のトップ。あれ、俺の親父」


アルが飄々とアランを指差す。

眉を寄せながら、アキは考え込んだ。



「カイルの父親があいつで、貴様の父親もあいつ・・・・・・・・」

「カイルは俺の妹だよ」


アキが顔を上げる。


「手の掛かる妹でね」


へらっと薄ら笑みを浮かべているアルは、ふらりとアキの横を通り過ぎた。