「凄ぇ・・・」
「あの船長と剣を交えてるぜ」
「寧ろ押されてるんじゃねぇのか・・・?」
「何であんな格好なんだ」


彼方此方で野次の声があがる。
死神船船員も例外ではなかった。


「カイルが、何で・・・・・・」

「あいつあの海賊が言ったとおり、女だったのか?」

「まさか、あんな実力が・・・・・・・」



その死闘の中で、アキは眉を寄せ、カイルが剣を振るうその瞬間を見つめていた。



「船長、これは・・・・・・」

「あぁ、分かっている。俺も予測がつかなかった。だが・・・・・」


ぎん。
いつの間にか喋る者も居なくなり、気付けば皆、二人の死闘を眺めていた。



「この気圧されるような迫力、凄まじい殺気・・・・・・、本当にカイルなのか、と」

「俺も思いました・・・・・・・」

「それと・・・・、カイルはアランを殺す所か、俺をも殺そうとしていた。もしかしたら、自我を失っているのかもしれん」



きん。
鋭い金属音と共に、アランが甲板に転がった。



「・・・おい、小僧。カイルは自我を失ったんじゃない。これが、本当のカイルなんだ」

「・・・・・・なんだと?」

「元々気性が荒かったんだよ、こいつは!」


威勢の良い掛け声と共に、アランは立ち上がり、再びカイルに剣を振るう。



「どう言う事だよ、本当!!シーザにはこいつを止めろって言ったのになあ!」


一隻、二隻、死神船から離れていく船が見える。
皆、この異常な事態に身を引いていく。