「カイル!」


丁度海賊と剣を交えていたアキが、カイルの存在に気付く。
が、カイルの格好を見るなり顔を顰める。


当然の事に、カイルは下着は、勿論ズボンも穿いておらず、丈が長めのシャツを一枚着ているだけだった。

内太腿には、行為の印の血液が伝っていた。



「・・・・・お前、・・・・・・」


カイルを見れば、何があったか一目瞭然だった。
そんな不愉快な事実に気付き、アキがカイルに近寄る。



「小僧!!!今のそいつに近寄るな!」

「何?」


瞬間、アランの怒号が聞こえる。
アキは寸での所で足を止めた。



「っ、!!」


細い剣先がアキの顔少し前で掠める。
あと一歩、進んでいたら。



「小僧!離れろ!」

「誰が小僧だ!分かってる!」


アキがカイルから退き、代わりにアランはカイルに向かって走っていく。
先程まで緩んだ顔だったが、今は緊張の走った顔になっていた。



「カイル!動くな!!」


アランが剣を抜き、カイルとの剣を交える。
鋭い金属音が鳴った。


死神船の船員や、海賊達もあまりの迫力に闘う事を忘れ、二人を遠巻きに呆然と見ている。