「ほら、やっぱり」

「うそ、いつから?」

けど、こうして柚木君の隣にいると、最近こういうヒソヒソ話をよく耳にする。

柚木君が私を“楓花”と呼ぶようになってからだ。

付き合うと言っても話す回数が増えたぐらいだった私達は、クラスでも全然気づかれていなくて。

柚木君はあれから何度も女の子に告白されていた。

それが、最近になって突然柚木君が私を特別な名前で呼び始めたから、周りは驚いているみたい。

彼女としてもっと堂々としてなって、ナカちゃんは言うけど、なんとなく控え目なままの私。

「楓ちゃーん」

相変わらず、脩君は私を枕代わりに抱き着いてくるし。

「ち、ちょっと脩君っ」

「またまた辞書サンキューね!」

二股?なんて変な噂もたまに流れてるから、気をつけなって、この間ナカちゃんに忠告された。

でも全く根拠のない事だから、あまり気にしないようにしてるけど。