「急いで戻れば間に合うから」

「や、でも家遠いし、私大丈夫だよ。ゆっくり歩けば1人でも全然」

「送らせて」

全然大丈夫……と言いかけた口は、閉じるしかなかった。

あまりにも柚木君の声が力強かったから。

チラッと北川君とナカちゃんを見ると、2人同時にブンブンと頷いている。

そのまま柚木君に腕をつかまれ、不格好に歩く私。

女子からの視線が痛い。

でも、人気者の柚木君は慣れてるのか、周りの視線を気にする事なく、涼しい顔で歩いてる。

「あれ?はる君!」

靴箱に着くと、突然柚木君に声をかけてくる甲高い声があった。