今朝の『余計な事するなよ』っていう柚木君の声を思い出した。

嫌われてるんだから、仕方ないか……。

でも、嫌われてる理由がナカちゃんとの事じゃなければ、いったい何なんだろ?

「私、帰るね」

ナカちゃんにバイバイすると、逃げるようにして教室を出た。

なんだか胸が苦しい。

ギュッと心臓を握られてるみたい。

ドクンッ。

痛い。

胸が?

ちが、違ーう!

「あ、足がっ」

くじいていた事を忘れてた。

痛みでもつれた足がまた私の体のバランスを容赦なく崩す。

転ぶ!

と思った瞬間、私の腕をつかんで支える手があった。

振り返った私は

「柚木君……」

固まってしまった。