「ただいま」

沈んだ気持ちのまま、自宅の玄関ドアを開ける。

「遅かったね~」

遠くから母がパタパタと駆け寄る足音が聞こえた。

「ん。ちょっと友達と話し込んじゃって」

「ご飯食べるでしょ?」

「ううん。いらない」

「どうしたのー?何かあった?」

「何もない」

何もないから、沈んでるんだ。

そのまま、階段をかけ上り、部屋に入ってベッドに身を沈めた。

「はぁ」

ため息ばっかり。

明日は卒業式だって言うのに。

少しも晴れやかな気分になんてなれない。






柚木君、どこにいるの?