柚木君の隣をいつまでも歩いて行きたかった。

柚木君の笑顔をすぐそばで見ていたかった。



もし、隣を歩けなくても、せめて柚木君の姿を見ていたかった。



でも、もう叶わないんだ。

私の想いは、迷惑なのかな。



もう別々の道を歩き始めてた私達は、この先交わることのない道を歩き続けるんだね。

私は自分で未来を決めたんだ。

自分には何ができるのか、何がしたいのか。

それは柚木君も同じ。

それなら、私には柚木君の未来を応援して、自分の足でしっかり歩いていくしかない。

いつの間にか、米つぶほどに小さくなった柚木君の背中。





──ばいばい。




さっきくれた柚木君の最後の言葉を、心の中で繰り返す。

長い長い片想いのピリオドを打たなきゃ。



中学3年、3月。

桜のつぼみがあったって、今朝、先生が言っていたことを思い出した。