体育館に着くと、準備室からちょうど先生が出てくるところだった。

「おぉ、工藤、どうだった?」

「先生!先生の添削のおかげで、苦手だったところちゃんと回答できました!」

「そうか。答え合わせはしてみたか?」

「はい。多分、大丈夫」

「よっしゃ!回答欄さえ間違ってなきゃ、大丈夫だな。ま、そんな間違いするとしたら柚木ぐらいか。ぐぁっはっはっ」

「ぷぷっ。柚木君は、ちゃんとやるときはやる人だから大丈夫ですよ」

「あぁ、後半あいつ頑張ったからなー。けどちょっと厳しそうな事、三浦先生が言ってたな」

「そうなんですか?」

「んー?うーん。まぁランクもギリギリだったし、ちょっと心配だって言ってただけで、結果を見なきゃわかんないけどな」

先生は笑いながら私の頭に手をおいた。

そして感慨深げに

「お前も強くなったし、なんとかなるだろ」

と言う。

「私、強くなったかな?」

「なっただろ。ちゃんと笑えるようになったしな」

「えー?私いつも笑えてなかったですか?」

「ん?笑ってたけどな」

先生は、私の心の裏側を見つめるように、そう言った。

他の人に気づかれるくらい、私は寂しさを全面に出してしまってたのかな。

それじゃあ、柚木君を安心させるなんて無理なはずだ。

「私、もっと、強くなります」

宣言すると、先生は微笑んでゆっくり頷いた。