「ごめん。ナオちゃん……私」

私、柚木君が好きだよ。

「──うん。わかってる。でも私も、楓花ちゃんに負けないくらい好きだよ」

ナオちゃんは私が気持ちを言葉にしなくても察してくれた。

「うん」

「フラれても、好き」

「うん」

「叫びたいくらい、好き」

ナオちゃんはそう言うと、柚木君に向かって、まるでCM撮影かのように

「好きだー!!」

と叫んだ。

そして、驚く柚木君に

「昨日のドラマの真似」

と、ピースして見せる。

なんて強いんだろう。

ナオちゃんは

「負けないから」

私にそう宣言して、歩き出した。

同じように本気で柚木君が好きなナオちゃん。

その背中は「楓花ちゃんには出来ないでしょ」って言ってるみたい。

「私だって、負けない」

私は小さく呟いた。

「え?」

「私だって、負けないくらい好きだもん」

「楓花ちゃん……」

クルッと向きを変えて、柚木君を見る。

やっぱりまだそこにいてくれた柚木君。

私は大きく息を吸い込むと

「待ってるから!」

と叫んだ。

「ずっと、待ってるから」