「うちもあんまり余裕ある家じゃないからさ、家から近いとこにしないと、親が泣くわ~」

Y高はここからだとバスと地下鉄を乗りついで、さらにバスに乗らないと行けない。

「やっぱチャリ通でしょ」

寂しそうに笑いながら言うナカちゃんが少し大人に見えた。

「楓花は?Y高?」

私は未だに決められずにいた。

ナカちゃんと同じM高だと私の家からも近いし、ナカちゃんともずっと一緒にいられる。

けど、もう、柚木君と繋がるものが何もなくなってしまうと思うと恐かった。

そしてもうひとつ、音大希望の私は、音大の合格率が高いK高も迷っていた。

レベルが高いから、本気で頑張らないと厳しいんだけど。

「うん……一応、第1希望はK高だけど」

私達は中学を卒業したら、みんなバラバラになっちゃうのかな。

「何か、寂しいね」

ナカちゃんが言った。