靴箱に着くと、なぜかそこに座り込んでいる脩君がいた。

さっき聞いたナカちゃんの話を思い出して、警戒心を強める。

いなくなるまで待とうか……。

躊躇い、足を止めた時

「あ、楓ちゃん!」

不意にこっちに顔を向けた脩君に見つかってしまった。

「今日学校来てたから、びっくりしたんだ。もう大丈夫?あ、俺頼ってくれていいからさ、毎日迎えに来るし、帰りも送ってくよ。もう坂下にあんな事絶対させないし。俺がどんな事してでも阻止するから」

脩君の笑顔が虚しく感じられた。

「だから俺……楓ちゃんの側にいさせてもらえないかな」

お兄ちゃんとして信用していたのに。

何も答えない私に、脩君は一方的に話し続ける。

私の気持ちなんかまるで無視だ。

「好きなんだ。出会った時からずっと。好きで、俺……」

信じてたのに。