「また飯田先輩の魂胆も知らずに、脩君を悪く言わないでーなんて言ったんじゃないの?純粋なのはあんたのいいところでもあるけどさ、あんまり人を信用しすぎちゃダメだよ」

ただの喧嘩なら、どんなにいいだろう。

でも、私には彼女でいる資格なんかとっくになくなっていたんだ。

「ナカちゃん、私、ふられちゃった」

「は?」

「もう彼女でいられなくなっちゃった」

「は?何冗談言ってんの?」

冗談なんかじゃないよ。

「ナカちゃん……私」

ナカちゃんにつかまると、私は

「楓花?」

崩れるようにして泣き声を上げた。

笑った顔が好きだった。

ちょっとはにかんだ横顔が好きだった。

照れると頭をポリポリかく仕草が好きだった。