「……え?」

何を言って……?

「マネージャーの事とか、飯田先輩の事とか、いろいろ考えてたら、なんか疲れた」

それは、どういう意味?

「勝手なのはわかってるんだけど、もう……」

柚木君は襟につけている校章に触れると

「別れてほしい」

小さな声で、呟くように言った。

何が起きてるのか、理解できない。

私は固まったまま、柚木君を見つめていた。

「ごめん」

柚木君の指は校章から離れない。

そのまま外して、私に返すつもりなんだろうか。

「や…やだ」

私は咄嗟に、校章に触れている柚木君の手を振り払った。

うそ。

そんな事。

柚木君は驚きながらも、悲しそうに一瞬だけ私を見て。

すぐに目をそらす。