「あの写真さ、大丈夫だから。ちゃんと削除してもらった」
あの写真……。
それを聞くだけで嫌な記憶がよみがえり、ズキンと胸が痛んだ。
「もう、心配しなくていいよ」
でも、柚木君が自分の置かれている状況も省みずに助けてくれたんだもん。
「ナカちゃんから聞いたよ。ありがとう」
「俺は何もしてないよ」
柚木君は顔を背けて答える。
「ううん。柚木君がマネージャーのとこ行ってくれたから私……」
「何も出来なかった」
言いかけた私の声に被さるように柚木君がまた答えた。
「そんな事ないよ?」
「何もできなかったんだよ、俺は。結局何だかんだ言って助けたのは飯田先輩だし、写真消したのは山崎だし、今日学校に来させたのはナカだ。
俺は、楓花を苦しめることしかできない」
「そんなことないよ、柚木君はいつも守って──」
「守れなかったよ!」
「……」
「……何もできなかったんだよ」
悲しそうに俯く柚木君に、私はかける言葉が見つからなかった。
いつもなら私を見て、微笑んでくれるはずなのに。
もしかしたらギュッて抱きしめてくれるんじゃないかって思ったのに。
少しも目を合わせようとしない柚木君は
「俺、ちょっと、疲れたんだ」
そう言って、立ち上がった。
あの写真……。
それを聞くだけで嫌な記憶がよみがえり、ズキンと胸が痛んだ。
「もう、心配しなくていいよ」
でも、柚木君が自分の置かれている状況も省みずに助けてくれたんだもん。
「ナカちゃんから聞いたよ。ありがとう」
「俺は何もしてないよ」
柚木君は顔を背けて答える。
「ううん。柚木君がマネージャーのとこ行ってくれたから私……」
「何も出来なかった」
言いかけた私の声に被さるように柚木君がまた答えた。
「そんな事ないよ?」
「何もできなかったんだよ、俺は。結局何だかんだ言って助けたのは飯田先輩だし、写真消したのは山崎だし、今日学校に来させたのはナカだ。
俺は、楓花を苦しめることしかできない」
「そんなことないよ、柚木君はいつも守って──」
「守れなかったよ!」
「……」
「……何もできなかったんだよ」
悲しそうに俯く柚木君に、私はかける言葉が見つからなかった。
いつもなら私を見て、微笑んでくれるはずなのに。
もしかしたらギュッて抱きしめてくれるんじゃないかって思ったのに。
少しも目を合わせようとしない柚木君は
「俺、ちょっと、疲れたんだ」
そう言って、立ち上がった。