学校なんか2度と来れないって思ったのに、いざ来てみると、学校の中はいつもと変わらない元気が溢れていて。

2週間前の出来事は夢だったんじゃないかと思わせるくらいに、あちこちに笑顔がいっぱい。

自然と、私の口元もほころぶ。

凍っていた心が溶けていく感じ。

温かい。

「ナカちゃん、ありがと。来て良かったよ」

私は連れ出してくれたナカちゃんにお礼を言った。

ナカちゃんは複雑な顔をして笑った。

合唱コンクールを終えてホームルームで今日の授業はおしまい。

みんな帰り支度をし始めると、私はすぐに柚木君の姿を探した。

気づいた柚木君が私を見る。

でも無表情の柚木君に、なんだか違和感。

柚木君は私に近づくと、

「ちょっといい?」

と言って、私を連れ出した。