学校に着くと、もう合唱コンクールは始まっていた。

体育館から歌声が響く。

「ナカちゃん……やっぱりちょっと怖い」

立ち止まる私を見兼ねたナカちゃんは、両腕を開いてギュッと抱きしめてくれた。

「大丈夫だから。ね?私がずっとそばにいる」

「ナカちゃん」

「頑張れ」

「……うん」

私はナカちゃんに手を引かれ、体育館に足を踏み入れた。

ちょうど歌い終わったクラスがステージから降りるところだった。

「次は2年3組」

司会の先生が私達のクラスを呼ぶ。

「行くよ」

ナカちゃんに手を引かれたまま、私はステージ横のピアノの椅子に腰かける。