私がもっと注意深く行動していれば済んだ事なのに、みんなに心配かけて迷惑かけて。

ごめんね。

心配してくれているみんなの気持ちを思うと、また涙が込み上げて来た。

「楓花……」

私はまた柚木君にしがみつくようにして泣いた。

「ごめん。俺が寝坊なんかしたから。俺のせいだ」

違うよ。

私があっさり騙されてしまっただけ。

「俺、絶対守るから。今度こそ絶対。楓花が安心して学校行けるように、どんな事してでも守るから」

柚木君はそんな私をギュッと抱きしめながら言ってくれる。

「絶対守るから」

投げ捨てられた柚木君の携帯はいつの間にか切れていた。

「柚木君……ごめんね」

いっぱい心配かけてごめんね。

「なんで楓花が謝るんだよ。謝らなきゃならないのは俺だ」

ううん。

柚木君は何も悪くなんかないんだよ。

「ごめんね」

「楓花」

柚木君は私をギュッと抱きしめたまま、涙に埋もれた私の顔に唇を当てた。

瞼に。涙に。

そして、オデコに。

「もう、誰にも触らせない」

柚木君は抱きしめる力を強くして言った。