「うん」

柚木君はまた私の隣に座り、そっと手を握ってくれる。

何も言わなくても、柚木君の優しさが伝わってくるようだった。

ピリリリリッ

柚木君の携帯が鳴り出した。

さっきから私の携帯も柚木君の携帯も鳴りっぱなしだけど、私達はその着信音だけを黙って聞いていた。

携帯を開く余裕すらなくて。

テーブルの上にあった携帯は、『着信：ナカ』と表示している。

「ナカ、心配してるかも」

柚木君が言った。

そして、私の様子を窺う。

だから私はコクンと小さく頷いた。

柚木君は携帯を掴むと、通話ボタンをピッと押した。

「はい。あー……ナカ？」

私を気遣って、チラッと見下ろしながら話す柚木君。