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「大丈夫?」

ずっと側にいて私の手を握っていてくれた柚木君が、口を開いた。

ここは柚木君の部屋。

柚木君に支えられながらやっとの事で着いた柚木君の家で、私はやっぱり俯いたまま何も話せずにいた。

「何か……飲む?」

柚木君は私の手を離すと立ち上がる。

「お茶でいいかな」

すごく労ってくれてるのがわかる。

私はやっと顔を上げて、涙でボロボロの瞳で柚木君を見上げた。

そして

「行かないで」

聞こえるか聞こえないかくらいのか弱い声で

「そばにいて」

お願いする。

両手を押さえつけられた痛みと感触がまだ消える事なく、鮮明に思い出されて。

ビンタされた頬はまだ熱い。