「──ごめん」

それから柚木君は恥ずかしそうに顔を背けた。

しちゃった。

頭の中パニックな私は自分の唇に触れたまま、さっきの温もりを思い出して、ドキドキが止まらない。

「嫌だった?」

不安そうにチラッとこっちを見上げる柚木君。

嫌??

ううん。嫌なわけない!

私は多分真っ赤であろう顔を思い切り左右に振った。

「2つも特別をもらっちゃった」

楓花と呼ばれること。

そして、キス。

お互い照れくささでうつむきながら、そっと視線だけ上げて、目を合わす。

そして、クスッと笑った。

「あ、そうだ、ちゃんと彼女だからね!」

「え?」

「さっきの話の続き。不安になんなくていいから。ちゃんと楓花は俺の彼女だから!」

「は、はい!」

念を押すような柚木君の声に、私は思わず大きな声で返事をしていた。

「で、俺は、彼氏だから」

「はい」

「焼きもちも、妬いていいよ」

「いいの?」

「俺の方が多分何百倍も妬いてるから。飯田先輩には特に!他にもクラスの男子とか。ナカにも」

「ナカちゃんにも??」