私は病院を出て、お店へと走った。

光希ちゃんに≪会って話したい≫とメールをし、助けを求めた。



「はぁ……はぁ……っ」



足が震え、上手く走れない。

どうしたら良いのか、もうわからないよ……。

あの人の子供を妊娠。

出産、子育て……。

全てが考えられない。

母親に話せるわけもない。



「沙亜矢っ!」



「光希ちゃん……っ」



裏口の前で、光希ちゃんがマフラーだけをした状態で立って居た。



「……光希ちゃん……っ!!」



私は光希ちゃんの腕に飛び込んだ。

…お願い……。

もう、私を殺してよ……。

光希ちゃんの部屋にお邪魔すると、希ちゃんは居らず素直に話せた。

子供が居ると、気持ちが揺らぎそうな気がしてた。



「どこまで最低なんだろね」



光希ちゃんは眉間にグッとシワを寄せた。

でも、瞳にはうっすらとした涙が見えた。



「沙亜矢?こればかりは仕方ないと思う。赤ちゃんがこのまま生まれたとして、幸せになる保証もないんだから」



光希ちゃんは、自身もたくさん悩んだ事を話してくれた。

産めたのは、彼を好きだった時期があったからだと。

でも、私は違う。

どうにも出来ないんだ。

子供を守る自信が、正直なところない。