「あああああ!何でっ!何で寝坊なんか!」「起こしましたよ、美紀さん…。でも、言ってました。“あと少し”ッて…」
朝になり、同じ寝室の美紀さんの寝坊から始まった。
「そ…か…。ホンマゴメンーッ!」
寝癖でクシャクシャな美紀さんの頭が、炎の様に立っていて、意外に笑えた。
「あああああ!もゔ!お琴がきちゃぅぅ!」
ああ、そうだ。
昨日、お琴さんが来るとか言って、美紀さん、お菓子作っていた。

「美紀ー!お客よー!」「美紀ー!来たよー!」
台所からおかみさんが大声で叫んだ。
それを聞き、美紀さんは着物をパンパンと叩き、私に手招きしながら階段を降りて行った。「あんたもおいで、お客もいるから。」「はい!」
私は美紀さんの後ろを、兎の様に、ぴょんぴょん跳ねるように、追いかけて行った。「あー!咲ちゃーん!ご無沙汰、お琴です。」「お琴さん!」「話した事、ないのに…。凄い馴染み様…。」「ふふふ。あぁ、紹介するわね、歳三さん、入って!」「あぁ。」

聞き覚えのある、その愛しい声に胸が締め付けられた。
まさかの展開に驚きが隠せない。
「咲…。さ…き…か…?」「土方…さん…。」
時が止まった様に、2人は私達を見つめていた。
お琴さんの視線が、胸に刺さった。





お琴さん…。
お琴さんの愛する人を愛しかけてしまって、ゴメンなさい。

でも…。女として、恋は手放せない。

たとえ…。全てを失おうとも…。





土方さん…。



愛してます…。



でも…。私はこのまま貴方を愛したら…。私、














ダメになる。