『間に合って…良かったです…ミーナ様…ハァ…ハァ…』


ラッセルは息を切らし、消え入りそうな声で告げた。


『ラッセル!!今あたしが、あたしのヴァンパイアの力で回復させてあげるからね!!』


ミーナはそう言って、ラッセルの傷口に手をやった。


しかし、ヴァンパイアの力をコントロール出来ない上に、使い切ってしまった今のミーナにはラッセルを回復させることなんて出来なかった。


『どうして…どうしてこんな時に…こんな時にどうしてヴァンパイアの力を使えないのよ!!どうして!!』


ミーナは役立たずな自分を悔やんだ。


『自分を…責めないで下さい。ミーナ様、あなたはヴァンパイアではなく…ヒューマンなのですから…だからヴァンパイアの力を使えなくて…当然です…ハァ…ハァ…』


ラッセルはそう言って、ミーナの手を退かした。