『サラは来ない。来るわけない』


ロープで手と足を縛られているウィルがバゼルに言った。


『お前は黙っていろ』


そう言って、バゼルはウィルを睨んだ。


<サラ…来るなよ。来たらダメだからな…サラ…>


ウィルはサラを危険な目に合わせないために、そう心の中で何度も願った。


すると突然、洞窟の入り口の方で衝撃波の大きな音が鳴った。


『来た!!ヴァンパイアだ!!』


バゼルは腰掛けていた岩から立ち上がり不敵な笑みを浮かべた。


『はぁ…はぁ…』


息を切らしながら、サラはバゼルの前に姿を現した。


『サラ…』


願いとは反対に、自分を助けに来てしまったサラを見てウィルは複雑だった。