同じ食卓を囲むことに違和感を覚えた。
テレビを見て笑う姿に苛立ちを覚えた。
そして、公園でキャッチボールをする親子をみて、羨ましく思った。
でも、どこかで父は父だった。
でも、父の中で私は娘ではなく「あなた」だったんだ。

物心ついたときから、いつ私があなたを頼ったの?
ただ、ステキな父親でいて欲しかった。
ううん。
ステキじゃなくてもいい。
平凡でもいい。
ただ、父親でいて欲しかった。
だから私は見せつけるかのように働いた。
でもお父さんは私を見ていなかった。

「あなたって誰よ!娘でしょ!いつ父親らしいことをしたの!申し訳ないと思わないの!この子の努力をどれだけ見てあげていたの!言ってみなさいよ、えぇ?」
先に声をあげたのは母だった。まだ父は反論するつもりだったようだが、私と母の気持ちは同じところに向かっていることは間違いない。
「お父さんにとって私は何なの?稼ぎがないのに、毎日温かいご飯を作ってくれているこの人はお父さんの誰なの?…あの時、お父さんが死んじゃったらどうしようかと思った。こんなお父さんだけど、死んじゃったらどうしようかと思って、思ったら寒気がした。でも、生きていたら生きていたで、私はお父さんを100%信じられない。それは今もあの時も同じ。私は、お父さんがお金をもらわずに、タダで働く人だとは思えない。逮捕されて帰って来て、まだ1年も経っていないのに、またお酒の臭いがする。それで信じろって無理な話しだよ!人の話しも聞かないじゃない…ただただ、プライドを守りたいだけじゃない…。お父さんじゃないの?なんでこんなになっちゃったの?…お金のない生活を…この家に生まれたことを嫌だと思ったことは一度もないよ…。でもね、他の子が…知らない子でも、親子で仲良くしているのを見て…羨ましかったよ…。」

まるで子供のように、私は声をあげて泣いた。
私の肩を、私よりも小さな母が撫でてくれた。お母さんも頑張ってきたんだね…。