「久し振りに店行くわ。」
ケンジが店に現われた。
「よぉ、ケンジ。」
ケンジは妹のマミちゃんと、その友達を連れて来た。マミちゃんに会うのはこの日が初めてだった。ケンジと目元が似ている、勝ち気な子だ。その横にいた子は、「ユウキナナエ」という大人しそうな女の子だった。ケンジは店長のローテーションから外れているからか、この場所でカフェをやっていることをマミちゃんは知らなかったみたいだ。ここを気に入ったマミちゃんは、働きたいと言い、俺は喜んでその意見を受け入れた。親友の妹が働いてくれるなんて、俺にとっては嬉しい話しだった。そして、それを境にナナエちゃんという女の子は一人でもここへ来るようになった。この子と話していると、時間があっという間に過ぎて行った。

―運命ってこれか?―

俺の中で、まるでチャイムかのような音がした。
「まぁ、気のせいか。ってか、運命ってなんだよ。」
いい年した俺は、自分で自分を笑った。