「…ふぁー…。」
透き通る青空とは、今日みたいな日を言うんだ…。車を降りて、伸びをした。
「いいとこだねー。」
「だろ?」
社会人になってから、マミのところには時々遊びにくる。そしてこの日は、マミと共にマミの兄・ケンジに連れられて向かった先は海沿いにあった喫茶店だった。
「ホットコーヒー3つください。」
「ミルク、お砂糖はお付けしますか?」
「結構です。」
「かしこまりました。お席までお持ちしますので、お座りになってお待ち下さい。」
「あの、店長いますか?」
ケンジは店員に尋ねた。
「お友達ですか?」
「えぇ。」
「お呼びしますね。お席でお待ちください。」
そうして3人で店の真中あたりにある席に腰かけた。
「私、ここで働こうかな。」
マミは小さな声で呟いた。
「いいんじゃない?」
ケンジはニヤリと笑った。マミは大学を早々と辞めて、ずっとバイト生活をしていた。マミのような器用な子がもったいない。でも、こんなお店だったらいろいろなマミの才能を発揮させてもらえるのかもしれない。そう菜苗は思っていた。

「よぉ、ケンジ。」
黒いエプロンをした背の高い男性が、ケンジの名前を呼び、傍によってきた。
「映二ね。」
映二と呼ばれた男性は、菜苗とマミに会釈した。
「妹のマミです。こっちは友達の菜苗。」
「こんにちは。」
菜苗も会釈した。