キョトン、と聞き返した私を見て、渉は大きなため息をついた。
え、なんでそこでため息なのよ。
「結構、自分でもわかりやすすぎるくらいだと思ってたんだけどな…。結希って、鈍感だろ」
「なにそれ?…鈍感とか初めて言われたんですけど?」
本気で訳がわからない私に、再度ため息。
もうっ、だからなんなのよ?
ムッと渉を見上げると、じっと見つめ返される。
えぇ?な、何?
なんだか居心地が悪くて目をそらそうとした瞬間、渉の目が、真剣な光を宿した。
その瞳から、目がそらせない。
…吸い込まれてしまいそう。
そのまましばらく見つめ合って、気が付くと渉の腕が私を囲むようにして伸びていた。
「あ、の。…渉?」
呼びかけたものの、どうしたらいいのかわからなくて戸惑っていると。
突然、渉が動いた。
「……っ」
目の前が唐突に暗くなって。
唇に、柔らかい感触。
ふわりと一瞬重なったそれは、次の瞬間にはもう離れていた。
…今の、なに?
上手く現状が把握できなくて、目をぱちくりとさせる。
そんな私を見つめたまま、渉は口を開いた。
「…好きだ」