時が経つのは、早い。
私達4人は、無事、陽碧学園に合格することができて。
そしてそろそろ、あの、4月の運命の日から約一年が経とうとしている。
…今日は、私達の卒業式だ。
卒業証書を貰って。
校長先生の話とか。
市の教育委員会のお偉いさんの話だとか。
祝電や保護者の挨拶といった形式通りの堅苦しい式は、なんの滞りもなくスムーズに進んだ。
退場するころには早和は泣きそうな顔をしていて。
教室で担任の先生との最後のHR。
そして、在校生、保護者による見送りの頃には、私は苦笑しながら早和の頭をよしよしとなでていた。
「うぅ~…寂しいよぅ…」
「卒業しても、たまには遊びに来よう?大好きな学校だったもんね」
「ね?」とぐすぐすと泣いている早和をのぞき込むと、こくん、と頷く。
相変わらず、可愛い可愛い。
ここは、私にとっても特別な場所。
母校だからっていうのも確かにそうなんだけど。
でも、私は、ここで早和や明、…そして渉と出逢った。
渉とは、再会って形だったけど。
最初はお互いに仮面をつけて…。
腹の探り合いをしているような毎日。
それが変わったのは――…
「ああ、いたいた。明ー!」
それだけで1クラス出来そうな程の人混みの真ん中で困り顔の明をみつける。
これで最後だから…という思いはわからないでもない。
けど、明にとっては、こっちが優先でしょ。
なんたって、大事な大事なオヒメサマが泣いてるんだし。