恥ずかしさを隠そうとした声は、無意識にぶっきらぼうなものになってしまったけれど。
「いるよ」
…即答ね。
はい、と差し出すと、「ありがとう」と言って受け取ってくれた。
その時の顔がすごく嬉しそうで…。
なんだか、こっちが照れる。
うう…とうつむいて唸っていると。
「ホワイトデー、期待してて」
「え!?別に何もいらないわよ!?」
ふいに、さらっとそんなことを言われて焦る。
だって、渉からお返し…なんて。
どんな高いものがくるかとヒヤヒヤするわよ…!
別に私は、そんなにたいそうなものをあげたわけでもないのに。
「本当に!お返しとかいらないから…。変に高いモノとか、絶対に買わないでよ?」
私は大まじめにそう言ったのに…。
渉から返ってきたものは、ニヤリとした笑みだけだった。
…そしてその一ヶ月後。
私は、確実にどこかのブランド物であろう綺麗なブレスレットを、不本意ながらも受け取ることになったのでした…。