…渉には…バレてる…のかな。
もしそうだったら、逃げたい!
ていうか、恥ずかしすぎて死んじゃうっ!!
「ううん?私は、いつも結希ちゃんと一緒にいるからなんとなく気付いたってだけだし…。たぶん、クラスの人達は誰も気づいてないと思うよ?」
その言葉に、ホッと息を吐いた。
「…あげないの?チョコ」
早和がじっと私の目を見つめながら言う。
その真っ直ぐな瞳に、何もかもを見透かされているような気がして…言葉に詰まる。
「あげたいって思ってるなら、あげた方がいいよ?…いつ、突然それが出来なくなるかなんてわからないんだから」
「…早和…」
ほんの少し、痛そうな目をして微笑んだその言葉の重みを、私はもう知っている。
明は、いつどんな危険な目に遭うか分からない仕事をしているから。
だから早和は、明と一緒に居られる時間を大切にしている。
そして、いつも明の無事を祈っている。
「…うん、そうだね」
渉は、明のような危険と隣り合わせの仕事をしている訳じゃない。
だけど、突然普段の生活が壊れることは、誰にだってあり得ることなんだから。
…後悔しないように行動しないと、損だ。
…ただ、
「……いつ渡せばいいんだろ…」
授業の合間の、休み時間。
私はふぅー…と自分の席に突っ伏して、小さくつぶやいた。