ダメダメ。

早和に心配かけられないわ。


「大丈夫よ。なんでもないから気にしないで」


にこっと笑ってこたえた…けど。


「…うそでしょ?なんでもない顔してないし…。渉くんにチョコ、あげられなかったの?」


うっ…。

痛いところを突かれて、言葉に詰まる。

なんで妙に勘がいいのかな、この子は。

ていうか、バレてる?


「えっと、早和…」

「知ってるよ?結希ちゃんは、渉くんが好きなんだよね?」


………バレてる。

普段こんなふわふわしてるのに、早和は案外勘がいい。

いつも、知らないようでいて知ってたりするもんだから、本当にあなどれない。


「…早和、いつから?」


正確に質問の意味をくみ取った早和が、んーと、と考えてこたえる。


「そうだなぁ…夏休みの、少し前くらい?」

「え…」


それって、まだ私が自覚してない頃からじゃない!

しかも夏休みの前って、渉の本性を知った頃…よね?

そんなに前から!?


「だって結希ちゃん、ずっと渉くんのことを目で追ってたし…。なんとなく、雰囲気がそんな感じだったから」

「…そんなに、わかりやすかった?」