だって…。
私…いま、なんて思った?
『きっと、私なんかじゃ、全然太刀打ちできない…』
「う、そ…でしょ…?」
“誰か”じゃなくて、“私”を見て欲しい。
私だけを見て。
私だけを、渉の特別にして欲しい…。
まさか私…。
渉のことが、好き…?
うそ…だよね?
自分の心に問いかける。
“私”の出した答えは…
「うそ…じゃ、ない…んだ…」
私は…渉が、好き。
わかってしまった。
理解してしまった。
だけど…その事実は、驚くほどストンと私の心の中に納まった。
どう、しよう…。
これから…どうしよう…?
そんな疑問ばかりが頭を埋め尽くす。
自問自答をひたすら繰り返した。
でもやっぱり、答えなんてみつからなくて。
真冬の夕方、私は昇降口に立ち尽くした…。