「あぁ…もう、こんなに暗くなっちゃった…」
冬は日が暮れるのが早い。
そんなことわかってるはずなのに…。
まったく、先生のせいなんだから!!
ぶつぶつと小声で文句を言いながら階段を下りて昇降口の近くまで来ると、ぼそぼそとした声が聞こえてきた。
「…誰か、いるのかしら?」
あんまりよく聞こえないけど…男女のカップルみたい…かな?
でもこんなところでいちゃいちゃされてもね…。
正直言って、こっちが通りづらいだけなんですど。
なんでよりによって昇降口かな…。
「…ま、しょうがない…か」
気付かれないように、そっと通れば、大丈夫だよね?
とりあえずそういうことにして、極力気配を断ってそろそろと昇降口に近づいた。
それと同時にはっきりと聞こえるようになってくる声。
…あれ?
会話の内容…が、なんか考えていたものと違う…?
もっと、いちゃいちゃらぶらぶしてるのかと思ってたけど…。
「あ、の…。その…」
「何かな?…できれば、早く言ってほしいんだけど。俺、今日用事があるから」
「あ、すみませ…。え、えっと…」
「ん?」
「あの、わ、私っ、わ…渉君、の、ことが…す、すき…です…っ!!」
あら…告白現場…だったの…?
……………って。
わたるぅぅっ!?
うそっ!!
渉が告白されてるの!?
モテるだろうとは思ってたけど…まさか、本当にこんなところを聞く羽目になるなんて…。