S先輩の話だ。


買い物をしていると鞄の中で携帯が震えた。

おかしいなと思ったという。

オフの日でも仕事場から電話がかかることのあるS先輩は、すぐ対応できるよう音を出すようにしている。

しかし携帯は、マナーモードになっていた。

どこかにボタンがあたったかなと思いつつ、長く鳴らすと簡易留守録になると焦り、携帯を開いた。


誰?


そう思いながら携帯の画面を覗くと着信の番号がおかしい。


【129129129】


129という数字が三回繰り返されている。

およそ電話番号とは思えない。


…どこから?

何?


不審に思いつつ、電話をとった。

切れた。


「なんやの」


マナーモードを解除して、携帯を鞄に戻した。

しばらくしてまた、鞄の中で携帯が震えた。


…え?

なんで?

私今さっき、マナーモード解除したで。


少し苛つきながら、携帯を取り出す。

やはりマナーモードになっている。

そして画面には


【129129129】


故障?


そう思いながら電話をとる。

切れた。


「なんやねん」


ぶつぶつと怒りながらマナーモードを解除して、鞄に放り込んだ。

…また、鞄の中で、携帯が震えた。

そこで初めて気味が悪くなった。


何。

何なん。


取り出して画面を見る。


【129129129】


この数字が不気味なものに思えて、今度は電話をとれずにいると簡易留守録に切り替わった。

思わず受話器に耳をつけた。