「実來ちゃん、ショックだろうな」

「ぇ……」

「親のこと。テレビで見たよ」

「……残酷、なもんですよね」

「残酷、か……」

「?」

「きっと、実來ちゃんはわかってたと思うんだ」

「自分の親のこと、ですか?」

「なんだかんだで、勘はいいからな。
二年も帰ってきてないんだ。調べたと思う。
いつのまにか、ケータイの契約をきられてた。
いつのまにか、二年も帰ってきてない。

そんなんでも……自分の親だからって調べたりしてたと思う」

「……じゃあ、あいつは知ってたんですか?」

「いーや。そう簡単にわかるもんじゃないだろ。
でも、きっと予想はしてたさ。

実來ちゃん……親との思い出なんて、きっと数えるほどした、ないからな。

俺さ、実來ちゃんのお母さんと友達でな、いろいろ一緒に飲んだりして愚痴聞いてたんだ。
仕事や、夫……実來ちゃんのことも。

毎回腹が立ってた。

授業参観は面倒くさい、
遊ぶのが疲れる、
泣かれるのがうっとおしい、

そんな風に言うんなら捨てろって……」

「言ったんですか?」

神野さんは、コクンと頷いた。