ゆっくりと、顔が近づいてくる。


「……ごめん」


俺は鈴木の体を止める。


キツい香水。

俺が抱きしめたくなるのは……この香りじゃない。


甘くて、柔らかくて、

ふんわりとした、香り。




この部屋だって、

あの……温かい空気とはまるで違う。

ふたりのガキと、ちっさい背中がいる……温かい部屋。






『京ちゃんっ!』







自然と……涙が、流れた。