「続きの話があるんでしょ?喋りたそうな顔よ?」
「うん、雛には言っとかなきゃいけないかなと思って…」
「…何?」
「彼氏出来たって言ったでしょう?その彼氏ね、イケメンなの…」
そして、叫びに近い声で学校中に響いて………今に至る。
「稀已、イケメンはダメだって私何回も言ったじゃない!」
「好きなになった人がたまたまイケメンだっただけ!」
「それでも…」
それでも私は納得出来なかった。
イケメンを彼氏にするなんて自分が傷付くだけ…
私が経験したように、
自分がつらくてただ泣くはめになるだけ…。
稀已にはそんなつらい思いはさせたくない。
でも、どんな奴なんだろう?
稀已が惚れた男は……。
「…雛に彼、紹介するよ。それで雛に認めさせる!」
「…分かった。」
そう伝え、教室を出た。
廊下でひたすら悶々と考える。
稀已が知らない男に取られた…
どうしよう、私の可愛い可愛い稀已が…
そう考えていると、ピンッと閃く。
そして、決意する。
稀已には悪いけど、
男と稀已を別れさせる計画を実行することを。
稀已side.
パタンと雛が教室から出て行ったと同時に、
はあ…と小さなため息をつく。
雛がイケメン嫌いってことは知っていたから、
この話は言いづらかったんだけど…。
やっぱり、言い合いになっちゃった…。
どうしよう…自分で認めさせるとは言ったけど、
自信がない。
かと言って、彼と別れるのは嫌だ。
イケメン嫌いをどうにかすれば……
………やっぱ、イケメンと言ったら"恋"かなぁ?
恋…?
そっかぁ!
雛もイケメンに恋をしたらイケメン嫌いは直るかも!
確か…前に、彼の写真見せてもらったとき、
友達数人が写ってて
その中にカッコイイ人いたなぁ…
しかも、彼女いないって言ってたし♪
その彼と雛をくっつければ…
ふふふ…
いいこと思いついちゃったぁ〜♪
よーし!
雛のために克服計画を実行しちゃうぞ〜♪
そうとなれば、早速彼に事情話して協力してもらおーっと!
制服のポケットから携帯を取り出し、
彼に電話する。
───……
──…
『─分かった。そういうことならまかせて!』
「ありがと!じゃまたね〜」
彼との電話が終わり、席に着く。
彼を紹介する日は今週の土曜日になったことを
雛に伝えると
「うん、わかった。空けとく!」
そう言って雛は席に着いた。
その日、学校が終わった後、
久しぶりに彼とデートした。
……───そして、
雛に彼を紹介する日がきた。
彼は友人をつれ、時間通り待ち合わせの場所へと案内する。
雛は少し遅れてくるとか…。
来てくれるなら問題はないんだけど…。
私と雛が気に入っているカフェの近くで待ち合わせしたんだけど、
まだ、彼とイケメン友人は来てないみたい…。
─すると、
少し離れたところから
「稀已───!!」
と呼ぶ声が聞こえた。
見ると、彼が手を振っていた。
彼はすぐにこちらにきて、私に話しかけてくる。
「どう?ちゃんと気付かれずにきたか?」
「もちろん!それに雛は私の彼がどんなか知りたいだけだから気付くも何もないわ。」
「おい、隼!」
おっ。
「おぉ、奏多。こいつが俺の彼女の秋津稀已。」
「お前、いい女選んだな」
「…うるせぇ」
彼と隼が話している間に彼を観察する私。
この人ね…。
写真で見たときよりカッコイイわね〜
まぁ、彼には負けるけど!