「はあ────────っ!!??」
私の声は学校中に響き渡った。
「う、うるさいよ、雛!もっと声をさげて!」
「だっ、だって!親友の稀已が…大事に大事に見守ってきた大事な稀已が…」
おいおいと泣きまねをする私が
何故、さっき叫びに近い声を出したのかというと…
それは数分前…
「ひーなっ!お話あるんだけど、ちょっといい?」
ガツガツとお弁当を食べる私の前に遠慮がちに聞いてくる親友の稀已だった。
「ん゛─?何?」
「うん。あのね………………」
「何さ?なんか言いづらいこと?」
「…あのね、私、彼氏出来たんだ!」
「ぶはっ…ッ…ゲッホッゲッホ…か゛っ彼氏───!?」
「…うん。雛、大丈夫?」
「うん。ごめん、なんかびっくりしすぎてむせた…。」
稀已は私の背中をさすりながら言う。
「…大丈夫だから。ありがとう。…で?続きは?」
「え…」
「続きの話があるんでしょ?喋りたそうな顔よ?」
「うん、雛には言っとかなきゃいけないかなと思って…」
「…何?」
「彼氏出来たって言ったでしょう?その彼氏ね、イケメンなの…」
そして、叫びに近い声で学校中に響いて………今に至る。
「稀已、イケメンはダメだって私何回も言ったじゃない!」
「好きなになった人がたまたまイケメンだっただけ!」
「それでも…」
それでも私は納得出来なかった。
イケメンを彼氏にするなんて自分が傷付くだけ…
私が経験したように、
自分がつらくてただ泣くはめになるだけ…。
稀已にはそんなつらい思いはさせたくない。
でも、どんな奴なんだろう?
稀已が惚れた男は……。
「…雛に彼、紹介するよ。それで雛に認めさせる!」
「…分かった。」
そう伝え、教室を出た。
廊下でひたすら悶々と考える。
稀已が知らない男に取られた…
どうしよう、私の可愛い可愛い稀已が…
そう考えていると、ピンッと閃く。
そして、決意する。
稀已には悪いけど、
男と稀已を別れさせる計画を実行することを。
稀已side.
パタンと雛が教室から出て行ったと同時に、
はあ…と小さなため息をつく。
雛がイケメン嫌いってことは知っていたから、
この話は言いづらかったんだけど…。
やっぱり、言い合いになっちゃった…。
どうしよう…自分で認めさせるとは言ったけど、
自信がない。
かと言って、彼と別れるのは嫌だ。