教室へ入ると知らない人ばかり。
元々、友達なんていない。
今まで同じ学年で過ごしてきたみんなだけど、綾以外の友達はいない。

ガタッ

うわ、最悪。
あたしが席に着くと同時に周りが静かになる。
ガタッて音が響いちゃってみんながあたしの方を見る。

「はぁ~最悪…」

あ、つい言葉に出してしまった。
女子達が感じ悪そうな目であたしを見る。
まぁ、あたし嫌われてるしね。
今まであたしに話しかけて来た人は何人かいる。
少し仲良くなったけど結局はみんな離れて行った。
人と馴れ合うのが苦手。
だから無愛想なの。
だから結構嫌われてる。

「おぉ!澪じゃん」

あ、綾以外にもう1人いるのを忘れてた。
幼なじみの勢那(せな)。

「俺、知ってる奴いるかどうか心配だったけど澪がいてよかったわぁ~」

あぁ~そうね。
わかったから、あたしに話しかけないで。
ただでさえ今周りにガン見されてたのに、そんなバカでかい声で話しかけないでよ。

「今日、これで学校休みだから一緒に帰ろうぜ」

「今日、行く所あるの。悪いけど綾とでも帰ってあけて」

早く行かなきゃ。
いや、別に早く行く必要はないんだけど、あたしが早く行きたいだけ。
あたしが唯一あたしでいられる場所へ。