俺が姫の傍にいるのは、任務。

それ以上ではない。

それ以上であってはならない。

それ以上と気付かれてはならない。

俺は『忍』。

情欲は許されても、恋情は許されない。

しかも相手は、『西の国の正室』。


許される
はずがない。


姫にとって俺は、『警護』という名の『監視者』。

所詮、桂乃皇子の部下。

孤独に慣れすぎた姫に俺という身近に佇む存在が温かだった。

それだけだ。

それ以外の何物でもない。

どんなに優しくても、どんなに親切でも、姫の『心』は得られない。

どんなに姫が微笑んでも、深い意味はない。

勘違いをしてはならない。


………だから。