ああ、そうか。

私は笑うことすらまともにこなせぬ出来損ないであったのか。

今更そんなことに気付きまた虚しさに胸を漱がれた。

私はなにをしても穢らわしい。

それを忘れて微笑んでしまった事に目前の人物へ謝罪したい気持ちになる。


「ご自分を大切になさってください」


私が言っても全く意味のないこの言葉は、私だからこそ言える言葉のように思えた。


「もう、言いません。二度と何も…言いません」


戦い方を知りたいと死に方を知りたいと、過ぎた願いを持った。

意味のある死を願うということはすなわち自分に意味があると思っている証だった。

自惚れるな。

桂乃皇子に言われた言葉が私に突き刺さっていた。

言わない。

もう…言わない。


「戯言…お忘れください」


もう一度深く頭をさげ私は部屋を出た。

目を閉じる。

埃だらけのこの檻でどう生きるかは明日考える事にした。

そう明日からでいい。


時間なら多分にある。

多分に。

それはまぎれもなく色のない未来だった。

私はなんのために生まれて来たのだろう。

早く死にたい。



そう



思った。