~~side朧~~
「報酬はあなたの体です」
死に方の享受を願った私に、霧夜という名の美しい忍はそう言った。
「俺に抱かれなさい」
きっぱりとそう告げたあと彼は私から離れた。
「戦い方、死に方、享受してさしあげましょう」
その瞳の奥が残虐な光に揺れているのがわかった。
「あなたが俺に抱かれるのであれば」
彼は私を傷つけようとしていた。
残虐で冷徹な声色と笑顔にそれを知る。
けれど彼のその敵意には理由があるような気がした。
根底に何かあるような気がした。
今まで受けて来た冷たさとは全く感じを異とするそれに私は彼の心の傷を見た気がした。
『忍』。
『人に非ず』。
忍となる者がどんな理由によりその道を選ぶのか私は知らない。
しかし衣食住に窮する者たちが選ぶ世界だというくらいは漠然とながら知っている。
食べることも叶わず、着るものも足りず、眠る場所もなく訓練に訓練を重ね、死ぬために戦う彼らにとって、私という存在は甘く忌々しいものに映るだろう。
彼の態度はそんなものがこぼれたものに思えた。
しかしそれは私にとって優しいものだった。
「報酬はあなたの体です」
死に方の享受を願った私に、霧夜という名の美しい忍はそう言った。
「俺に抱かれなさい」
きっぱりとそう告げたあと彼は私から離れた。
「戦い方、死に方、享受してさしあげましょう」
その瞳の奥が残虐な光に揺れているのがわかった。
「あなたが俺に抱かれるのであれば」
彼は私を傷つけようとしていた。
残虐で冷徹な声色と笑顔にそれを知る。
けれど彼のその敵意には理由があるような気がした。
根底に何かあるような気がした。
今まで受けて来た冷たさとは全く感じを異とするそれに私は彼の心の傷を見た気がした。
『忍』。
『人に非ず』。
忍となる者がどんな理由によりその道を選ぶのか私は知らない。
しかし衣食住に窮する者たちが選ぶ世界だというくらいは漠然とながら知っている。
食べることも叶わず、着るものも足りず、眠る場所もなく訓練に訓練を重ね、死ぬために戦う彼らにとって、私という存在は甘く忌々しいものに映るだろう。
彼の態度はそんなものがこぼれたものに思えた。
しかしそれは私にとって優しいものだった。