そしたらいつの間にか楓が太一の腕を引っ張っていて、



「仁香子だよ。覚えてるでしょ。こっちに戻ってきた来たんだよ。久しぶりなのにその態度はないんじゃない?」



「はっ?誰?俺、そんな女知らねぇよ。関わったことすらねぇし。そんなやつに素通りして何が悪い?」



若干キレ気味な楓に対し太一が言った言葉はあまりにも残酷なもので、頭を思い切り鈍器で殴られたように気分になった。



「何言ってんの…?あんたの大事なおん…「だから知らねぇつってんだろ。勘弁してくれよ。つか笹村、腕、離せ。痛い」



楓の言葉を遮るように言葉を吐き捨てる。