「ねぇ…あのさ、…」


あたしが聞きずらそうに尋ねると二人は分かったような顔で「何?」と返した。



多分…太一のことだと直感で分かってくれたようだ。



「太一…草壁太一覚えてる?」



「うん」と気まずそうに二人とも頷いた。



「この学校だ…よね?どこのクラス?」



「たいちゃんはこのク…」



弥生が言いかけたその時ガラッと前扉が開いた。



そこには会いたくないけど会いたかった人がいた。



思わず息を飲んで、じっと彼を見つめる。



ドクドクと心臓が速くなる。

自己紹介のときよりももっと緊張した。