うぅ…穴があったら頭から入りたい。
いっそめり込んで二度と出てきたくない。
「藍沢さんの席は右端の1番後ろね」
先生に指定された席へ肩を落として向かう。
先生はあたしが席に着くのを確認すると連絡事項を述べていく。
HRが終わればクラスの人たちがあたしを囲っていて、興味津々にあれよこれよと質問を投げ続ける。
「うあ、えっと、その…」
返答に困っていると大きな声で「仁香子!」と呼ばれた。
大勢の中をかい潜って現れたのは、かつての中学時代1番の友達だった楓がいた。
「楓!」
ガタっと椅子を押して立ち上がり思わず叫んだ。
「ほら、皆、質問は後で後で。私が話してあげるから私に聞きな。この子人見知りなの」
楓の鶴の一声で皆がワラワラあたしのところから離れていく。