「俺らには、ほんと姉的存在の人。
 頼りんなって、優しくて、でもしゃしゃってなくて…。
 んで、春樹の兄貴…和樹兄さんの前でだけは、女のコになるのな」


秀はそんな皐月さんを思い出したのか、クスクスと笑っていた。


「で、春樹はそんな和兄が羨ましくて、ずっと背伸びしてたっけ。
 いつか兄貴と対等な立場になってやるんだって…」

『……』


春樹は…
そんな小さい頃からずっと、皐月さんだけを見てきたんだね…。

最初から、誰も入る余地なんてなかったんだ…。


「で、高校を合格したら皐月に告るんだ!って言ってたのに…
 高校が決まる前に、皐月姉と和兄は付き合い始めちゃったわけ。
 まぁ、可哀相っちゃ可哀相なヤツだよな…」


秀のその言葉を聞いて、なんだかすごく胸が苦しくなった。